2026.07.14
横浜国立大学 総合学術高等研究院「革新と共創のための人工知能研究ユニット」の内田絢斗助教、同ユニット白川真一教授は、株式会社サイバーエージェント人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」との共著論文について、進化計算分野の国際会議「GECCO 2026」の本会議に採択されました。「GECCO」は世界中の研究者によって毎年開催される国際会議で、最適化における重要領域である進化計算分野において権威ある国際会議の一つです。この度採択された論文は、2026年7月に開催される「GECCO 2026」にて発表を行います(コスタリカのサンホセにおいて、オフラインとオンラインのハイブリッド開催を予定)。なお、株式会社サイバーエージェントとの共著論文の「GECCO」への採択は5年連続となります。
GECCO:The Genetic and Evolutionary Computation Conference
→ GECCO2026 https://gecco-2026.sigevo.org/HomePage
また、本共著論文以外にも「革新と共創のための人工知能研究ユニット」の研究者の論文がFull Paperとして2件、Poster Paperとして1件採択されています。
研究背景:Black-Box最適化の理論と安全性
「革新と共創のための人工知能研究ユニット」は、革新・共創的な研究につながる人工知能技術を目指して、基礎から応用まで幅広い研究に取り組んでいます。その中でBlack-Box最適化に関するAI技術、特に確率モデルに基づくBlack-Box最適化法の高度化や理論構築についても研究・開発しており、民間企業との産学連携を強化しながら様々な技術課題に取り組んでいます。CMA-ES(Covariance Matrix Adaptation Evolution Strategy)などの連続変数の最適化を対象とする進化計算法は、工学設計や機械学習のハイパーパラメータ最適化などで成功を収めていますが、応用問題によっては連続的な変数に加えて離散的な変数も最適化対象にする必要があることや、評価することがリスクとなる解の評価を回避する技術が必要となります。このような背景のもと、「革新と共創のための人工知能研究ユニット」と「AI Lab」では確率モデルに基づく進化計算法の高度化に取り組んでまいりました。
Full Paperとして採択された共著論文について
『Adaptive Stochastic Natural Gradient Method for Safe Optimization on Binary Space』
著者:内田絢斗 (横浜国立大学)・濱野椋希 (サイバーエージェント AI Lab) ・野村将寛 (東京科学大学) ・白川真一 (横浜国立大学)
Safe Optimizationは、システムの破壊など、安全上のリスクにつながる試行を避けながら最適化を行う手法です。従来、未探索領域の安全性を予測するモデルは連続的な変数を対象としていたため、離散的な変数への適用が困難であるという課題がありました。本研究では「使用/不使用」などを表すバイナリ変数を対象としたSafe Optimization手法を提案しました。本成果は、実環境での危険な操作が故障につながるエージェント制御の最適化や、危険な解の評価が許容されない医療分野での最適化への応用が期待されます。
<論文リンク>
https://doi.org/10.48550/arXiv.2605.17925
『Convergence Analysis of Evolution Strategies for Mixed-Integer Optimization』
著者:濱野椋希 (サイバーエージェント AI Lab)・内田絢斗 (横浜国立大学) ・白川真一 (横浜国立大学)
Evolution Strategyは、目的関数の勾配情報を用いずに探索を行う手法で、近年では大規模言語モデルのファインチューニング手法としても注目されています。本研究では、連続変数と整数変数が混在する混合整数最適化において、標準的に用いられてきた整数対処法が連続変数の探索を妨げる場合があることを理論的に示しました。さらに、2025年度の共同研究成果※として提案した整数対処法について、連続変数の探索を妨げることなく効率的に探索できることも理論的に明らかにしました。本結果は、高性能な混合整数最適化アルゴリズムを設計するための理論的基盤となる成果であり、ハイパーパラメータ最適化をはじめとした様々な分野への応用が期待されます。
※ https://doi.org/10.48550/arXiv.2504.07884
<論文リンク>
https://doi.org/10.48550/arXiv.2605.21000
今後の展開
本研究において提案された方法は、(株)サイバーエージェントが進めるAI技術を取り入れたより品質の高い広告配信技術の開発や機械学習モデルの自動チューニングなどへ応用が可能です。「革新と共創のための人工知能研究ユニット」では、今後も革新・共創的研究を目指し、人工知能関連技術の研究開発に努めてまいります。
問い合わせ先
総合学術高等研究院「革新と共創のための人工知能研究ユニット」
特任教員(助教) 内田 絢斗
メールアドレス: uchida-kento-fz (at) ynu.ac.jp
※(at)は@に置き換えて下さい。
