2024.07.12

 横浜国⽴⼤学 総合学術高等研究院「革新と共創のための人工知能研究ユニット」の内⽥絢⽃助教、同ユニット⽩川真⼀教授ならびに横浜国⽴⼤学/株式会社スキルアップNeXtの⻫藤翔汰⽒は、株式会社サイバーエージェント⼈⼯知能技術の研究開発組織「AI Lab」との共著論⽂2報について、進化計算分野の国際会議「GECCO 2024」の本会議に採択されました。   「GECCO」は世界中の研究者によって毎年開催される国際会議で、最適化における重要領域である進化計算分野において権威ある国際会議の⼀つです。この度採択された論⽂は、2024年7⽉に開催される「GECCO 2024」にて発表を⾏います(オーストラリアのメルボルンにおいて、オフラインとオンラインのハイブリッド開催を予定)。 なお、株式会社サイバーエージェントとの共著論文の「GECCO」への採択は3年連続となります。

 GECCO : The Genetic and Evolutionary Computation Conference
GECCO 2024 | HomePage (sigevo.org)


【研究背景】ブラックボックス最適化法の高度化

 「革新と共創のための人工知能研究ユニット」は、革新・共創的な研究につながる人工知能技術を目指して、基礎から応用まで幅広い研究に取り組んでいます。その中で、幅広い最適化問題に適用可能なブラックボックス最適化法、とりわけ確率モデルに基づく進化計算法の高度化や高性能化に着目しています。CMA-ESなどの連続変数の最適化を対象とする進化計算法は、工学設計や機械学習のハイパーパラメータ最適化などで成功を収めていますが、応用問題によっては連続的な変数に加えて離散的な変数も最適化対象にする必要があることや、評価することがリスクとなる解の評価を回避する技術が必要となります。このような背景のもと、「革新と共創のための人工知能研究ユニット」と「AI Lab」では確率モデルに基づく進化計算法の高度化に取り組んでまいりました。

【採択された共著論文2報について】

「CMA-ES for Safe Optimization」
著者:内⽥絢⽃(横浜国⽴⼤学)、濱野椋希(サイバーエージェントAI Lab)、野村将寛(サイバーエージェントAI Lab)、⻫藤翔汰(横浜国⽴⼤学・株式会社スキルアップNeXt)、⽩川真⼀(横浜国⽴⼤学)

 本研究では、CMA-ESと呼ばれるブラックボックス連続変数最適化法に対して、リスクのある解評価を削減する新たな最適化⼿法を提案しました。これにより、解評価に実機の利用が伴う応用や特定の解の評価にリスクが存在する問題を安全に最適化可能になると期待されます。
<論⽂リンク> https://arxiv.org/abs/2405.10534 

CatCMA : Stochastic Optimization for Mixed-Category Problems」
著者:濱野椋希(サイバーエージェントAI Lab)、⻫藤翔汰(横浜国⽴⼤学・株式会社スキルアップNeXt)、野村将寛(サイバーエージェントAI Lab)、内⽥絢⽃(横浜国⽴⼤学)、⽩川真⼀(横浜国⽴⼤学)

 本研究では、対象問題が連続的な変数に加えて、離散的な変数の⼀種であるカテゴリ変数を含む場合でも効率的に最適化できる⼿法を提案しました。カテゴリ変数は複数の選択肢から⼀つを選ぶような変数のことを指し、例として⾊の選択(⾚/⻘/緑)やフォントの選択(明朝体/ゴシック体)などが挙げられます。最適化対象の変数に連続と離散変数の両方を含む問題は、機械学習のハイパーパラメータ最適化など数多く存在するため、本手法の様々な領域への応用が今後期待されます。
<論⽂リンク> https://arxiv.org/abs/2405.09962 

今後の展開

 本研究において提案された⽅法は、(株)サイバーエージェントが進めるクリエイティブ領域の問題や機械学習モデルの⾃動チューニングなどにも応⽤が可能です。「革新と共創のための人工知能研究ユニット」では、今後も革新・共創的研究を目指し、人工知能関連技術の研究開発に努めてまいります。

問い合わせ先

総合学術高等研究院「革新と共創のための人工知能研究ユニット」
特任教員(助教)  内⽥ 絢⽃
メールアドレス: uchida-kento-fz (at) ynu.ac.jp
※(at)は@に置き換えて下さい。