2024.03.29
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2024年2月17日に学際研究による“社会課題への挑戦”を掲げて創設された、総合学術高等研究院(IMS:Institute for Multidisciplinary Sciences)のキックオフシンポジウムが開催されました。梅原 出 横浜国立大学長・高等研究院長による開会挨拶では「多様性」をキーワードとするIMS設立の狙いが語られました。その「多様性」に呼応する様に、ヨコハマSDGsデザインセンター長の信時正人氏による基調講演では、ピラミッド組織型の大規模開発や大量生産・消費社会から、一人一人の個が輝きながら新しいことを生み出し、様々な課題を解決する未来志向社会への移行が提案されました。そして、吉川信行副高等研究院長からの高等研究院全体の紹介に続き、IMSの各研究センターや研究ユニットを代表するリーダー達が、熱い口調で自らの研究グループが目指すビジョンとその実現に向けたコミットメントを語り、そして共に未来を創る仲間づくりに向けた呼び掛けを行いました。
最後のセッションはリスク共生社会創造センター長の澁谷忠弘教授がファシリテーター役となり、多様な人たちが対話を通し学び合うIMSユニークな取組み、「YNU Dialogue」を行いました。信時氏とIMSのセンター長に田中稲子副学長(地域担当)を加えた6人の登壇者と会場の参加者が『私たちの創る未来に向けたイノベーションとは?』を「問い」とした対話を行いました。会場からの積極的な質問や意見に登壇者の熱量も上がり、シンポジウム参加者全員が自分ごとで目指すべき未来の姿を描き、その実現に向けた連携の気運が高まった良いキックオフの場となりました。
※ 本記事内の所属及び役職は全てシンポジウム開催時点のものです
開会挨拶
開会挨拶に登壇した 梅原 出 横浜国立大学長・高等研究院長 は、創基150年の歴史を踏まえて培われて来た4つの理念、「国際性」「開放性」「先進性」「実践性」に加え、2024年度に未来を示唆する言葉として、「多様性」を5番目の理念に加えたことを紹介しました。そしてIMSが多様性な知や多様性な人が集まり、横串を刺してオンリーワンを創っていく研究組織であることを発表しました。最後に、参加への謝意と共に、このシンポジウムのキーワードも「多様性」であることに触れて、開会宣言としました。
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基調講演
信時 正人氏(ヨコハマSDGs デザインセンター長)「まちの未来 for Well Beingへの考え方」
信時 正人氏は、産官学の全ての組織に所属されたユニークなご経歴を持ち、様々な組織の価値観の違いや、縦割り組織の課題を乗り越えながら、Well-beingな社会を目指したまちづくりの考え方について、様々なご自身の仕事や地域活動での実体験を交えてご講演頂きました。大きな方向として、大企業等組織主体のピラミッド型社会からさまざまな特徴を持つプロフェッショナルな個人がネットワークを作り、効率的かつ柔軟に地域の課題を解決し、活性化する社会に移行しつつある動きが示されました。多様な個人が、それぞれの特徴を生かしながら自律・分散・協調する未来志向の社会の姿が、「地域で偉い人は肩書ではなく、地域のために汗を流す人」という印象的な言葉と共に語られました。また、SDGsに関しては、「カタログからストーリーのある小説へ」という言葉で、個々の目標をバラバラではなく、自分達自身でその繋がりのストーリーを作っていくことの重要性を訴えました。産官学も新しい繋がりの中でこれまでの常識に囚われない取り組みが必要であること、また、これからの都市のあり方として、ハードだけに依存するのではなく、ソフトや新たな資金を調達するファイナンスの視点も加えて構想することの大切さが指摘されました。 東日本大震災や新型コロナ禍を経て、エネルギー政策の転換や人の働き方、住み方の変革が進んで来ている中で、一人一人がキラキラと輝き、リスペクトし合いながら新しいことを考えていく社会が目指すべき姿であるという力強く、前向きなメッセージで話を締め括られました。
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高等研究院のご紹介
吉川 信行 副高等研究院長は、冒頭に「バウンダリー・スパナとして、知の統合型大学へ そして未来を創る」と言う、2024年学長ビジョンを紹介しました。そして、学長をトップとする高等研究院の組織体制や、全学の研究力強化の仕組みにおける位置付けを示しました。その上で、一旦過去を振り返り、リスク共生学の国際研究拠点構築を目指した先端科学高等研究院(IAS: Institute of Advanced Sciences)に始まる、2014年10月からの高等研究院の変遷に触れました。研究力の強化を組織的に進める中で、研究ユニットをさらに発展させた3つの研究センターが生まれ、それらは卓越性を目指して最先端研究を追求する方向と多様性を目指して学際的研究を目指す方向の2つが混在していた課題に触れました。結果として、世界ナンバーワン研究を目指すIASと世界のオンリーワン研究を目指すIMSの両輪体制に繋がった経緯が示されました。IMS 始動後の活動状況や未来ビジョン実現に向けて、多様な人たちが対話を通し、学び合うユニークな取組みである「YNU Dialogue」も紹介されました。最後に、2024年度にIMSに新たに創設される「半導体・量子集積エレクトロニクス研究センター」への期待を語りました。
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総合学術高等研究院 各センター、ユニットによる研究ピッチ
このセッションではIMSの4つのセンターと3つの研究ユニットを代表するリーダー達が、熱い口調で自らの研究グループが目指すビジョンとその実現に向けたコミットメントを語り、そして共に未来を創る仲間づくりに向けた呼び掛けを行いました。※研究ピッチの詳細は動画視聴リンクより閲覧ください。
リスク共生社会創造センター
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発表者:澁谷 忠弘センター長(教授)
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台風科学技術研究センター
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発表者:筆保 弘徳 センター長(教授)
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豊穣な社会研究センター
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発表者:細田 暁センター長(教授)
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次世代ヘルステクノロジー研究センター
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発表者:下野 誠通 センター長(准教授)
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生物圏研究ユニット
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発表者:松田 裕之 上席特別教授
革新と共創のための人工知能研究ユニット
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発表者:白川 真一ユニット長
共創革新ダイナミクス研究ユニット
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発表者:真鍋 誠司 ユニット長(教授)
ポスター展示
会場のロビーでは参加者がIASやIMSの各センター、研究ユニットのポスターと個別の紹介資料を手に取る様子が見られました。また、会場では台風科学技術研究センターが主催する、台風科学技術 創出・社会実装コンソーシアム(TRCコンソーシアム)の紹介動画が流され、関心を集めていました。
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YNU Dialogueセッション
『私たちの創る未来』に向けたイノベーションとは?
このセッションはリスク共生社会創造センター長の澁谷 忠弘 教授がファシリテーター役となり、多様な人たちが対話を通し学び合うIMSユニークな取組み、「YNU Dialogue」を行いました。基調講演で信時氏と熱いピッチを行ったIMSのセンター長4人に田中稲子副学長(地域担当)を加えた6人の登壇者と会場の参加者が『私たちの創る未来に向けたイノベーションとは?』を共通の「問い」として対話を行いました。会場からの積極的な質問や意見に登壇者も熱量の高いコメントで応じ、シンポジウム参加者全員が自分ごとで目指すべき未来の姿を描き、その実現に向けた連携の気運の高まりが感じられるセッションになりました。
【ファシリテーター】
・澁谷 忠弘(リスク共生社会創造センター長)
【ダイアローグパートナー】
・信時 正人 氏(ヨコハマSDGs デザインセンター長)
・田中 稲子 (副学長(地域担当)/ 地域連携推進機構長)
・筆保 弘徳(台風科学技術研究センター長)
・細田 暁(豊穣な社会研究センター長)
・下野 誠通 (次世代ヘルステクノロジー研究センター長)
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閉会挨拶
閉会の挨拶に登壇した四方 順司 副学長(研究・情報担当)は、シンポジウム参加者と信時氏始め登壇者への謝意に続き、冒頭に梅原学長から説明があった新たな理念である「多様性」と言うキーワードに従って、横浜国立大学がさまざまな改革に取り込んでゆく意思を改めて表明しました。そして、学際性や多様性を目指すIMSは研究を進める上で、まさにさまざまな社会のステークホルダーとの繋がりが大切であること、大学全体としても第4 期中期計画期間において、その様なステークホルダーとの連携を踏まえ、自走する経営体になることが期待されている現状を述べました。従来の産学官連携で行われてきた、課題としてのニーズと大学のシーズのマッチングだけでなく、大学のステークホルダーである社会のさまざまな人々とつながり、社会の課題とビジョンを共有し、一緒にソリューションを創る取り組みへの協働と共創を呼び掛けながら、会を締め括る言葉としました。
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